教育研究情報

地域の小学校でおもしろ科学実験
「地球温暖化と海洋の酸性化」

学校教育学科
教授 澤柿 教淳

地球規模で進む環境問題を、子どもたちにも身近に感じてもらえるよう、貝殻や酸性洗剤など、日常生活で目にするものを使った実験を交えながら、地球と海の不思議な関係について学びました。

宇宙から眺めた地球は、美しく青く輝いています。それは、地球の表面の約7割が水で覆われているからです。そして、その水のほとんどは海水です。実は、この広大な海には、私たちの地球を守る大切な働きがあります。それは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO₂)を吸収することです。海は、人間の活動によって大気中に排出されたCO₂の一部を吸収し、地球温暖化の進行を和らげてくれています。

ところが、ここに大きな問題が隠されています。海がCO₂を吸収すればするほど、海水は少しずつ酸性の方向へ変化していくのです。この現象を「海洋酸性化」と呼びます。海水はもともと弱いアルカリ性ですが、CO₂が溶け込むことで、その性質が変化していきます。そして、この変化は、海に暮らす生き物たちに深刻な影響を及ぼす可能性があります。地球温暖化を和らげてくれる海。しかし、その働きによって海の生き物たちが危険にさらされるとしたら......。

今回の実験では、海洋酸性化によって何が起こるのかを考えるため、身近な「貝殻」と「酸性洗剤」を使いました。貝殻の主な成分は炭酸カルシウムです。この成分は酸と反応して溶ける性質をもっています。実験では、貝殻が酸性の液体に触れると貝殻の表面から泡が発生する様子を観察しました。実際の海洋酸性化は、この実験よりもはるかにゆっくりと進む現象ですが、酸性化によって貝やサンゴなどの生き物が殻や骨格をつくりにくくなる問題を考えるきっかけとなりました。

今回の科学実験教室で大切にしたのは、単に知識を覚えることではありません。「なぜ、こうなるのだろう?」「もし海の環境が変わったら、生き物たちはどうなるのだろう?」そんな疑問を持ち、自分の目で確かめ、自分の頭で考えることです。身近な実験から地球規模の問題へ。小さな「なぜ?」が、未来を変える大きな一歩になるかもしれません。これからも、子どもたちが科学の面白さを体感し、自然や環境への関心を深められるような活動を続けていきたいと考えています。

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