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上月研焚火×哲学カフェを行いました

学校教育学科
准教授 上月 康弘

520日(水)、今年度初となる焚火×哲学カフェを行いました。

今回のテーマは「緊張した場面でも自分の力を最大限に出すためには」です。

まず、どんな場面に緊張するのか、緊張の場面で力を出せなかった場面とそうでなかった場面を振り返り、自分の力を最大限に発揮するための要素について思考していきました。学生からは次のような意見が出ていました。【】はその抽出要素です。

・準備をきちんとしていないとき(忘れてしまったとき)はとても緊張してしまうが、準備万全であれば力を発揮できた。【万全の準備】

・緊張との向き合い方の意識化。「やるしかない」という気持ちで腹をくくる。終わった後に自分自身をほめ、自信をもつ。【覚悟】【省察】

・いい自分を見せようとすると上手くいかないが、「今の自分にできることをやるだけ」という意識に変えたらいい動きができた。【等身大の自己】

・自分ではなく周りに意識を向ける。相手を緊張しない物など(例:かぼちゃなど)にたとえる。【他者の極小化】

・ポジティブな人や仲間と話したり声をかけたりしたことで緊張がほぐれたり、よい演奏ができたりした。【仲間との絆】

・緊張をほぐすルーティーンをもつ。身体ほぐし(タッピング)や笑顔を意識的につくることで緊張との向き合い方が楽になった。【身体への意識】

・よい結果を出そうとしたり、相手のすごさから不安になったりすると上手くいかない。雑念を取り払う。練習で積み上げてきたことをそのまま出すことに集中する。【練習どおりの自己】

これまでの部活動や学習の経験の中で、自分なりの「緊張との向き合い方」をつかんでいる学生も多く、その姿に感心させられました。仲間の話を聞き、「とても参考になった」「早速試してみたい」と話す学生もいました。

その後、話題は、そもそも現代社会そのものが、過剰なコンプライアンス意識やSNSによる監視的な社会構造によって、常に高い緊張状態に置かれているのではないか、という社会学的な問題へと発展していきました。「多様性」を重視する言説が広がる一方で、善意で語った言葉が切り取られてSNS上で晒される危険性もあり、本音を語れず、当たり障りのないことしか言えない「言論統制的空間」が生まれているのではないか。そのような状況に抗い、安心感をもって生きていくためには、「仲間」の存在が不可欠なのではないか、という問いへと議論は深まっていきました。そして、「本当の仲間とは何か」「仲間や組織はどのように形成されていくのか」といったテーマにまで対話は広がっていきました。もっと話したいという思いもあったようですが、3時間以上にわたる対話はあっという間に過ぎ、終了の時間となりました。

改めて、焚火を囲む対話の空間は、日常から一歩離れ、絆と対話、そして自己内対話を深める場であることを実感する時間となりました。

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上月 康弘

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