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木曽漆器祭・奈良井宿場祭巡検を実施しました
観光ホスピタリティ学科
専任講師 脇園 大史
2025年6月8日、脇園ゼミでは木曾平沢・奈良井(共に重要伝統的建造物群保存地区)で行われた木曽漆器祭および奈良井宿場祭を対象に巡検を実施しました。
学生たちは事前に歴史的な町なみを保存する上での考え方やその内容について議論を行い、課題点や疑問点を洗い出したうえで当日の巡検に臨みました。巡検当日は、木曾平沢について研究を進める学生の案内の下、木曾平沢内の上町・中町・下町・金西町、それぞれの地区の特徴を見て回りました。実際に町を歩くことで、これら町なみの特徴の数々が、漆器祭の活気につながっていることを実感できたかと思います。また、偶然立ち寄った漆器店では、お店の方から漆器生産地としてのプライドにあふれるお話を伺うことができ、改めて「漆工町らしさ」を深く感じる貴重な経験をすることができました。
漆器祭でにぎわう木曾平沢
木曾平沢の見学後、隣接する奈良井へ移動しました。奈良井でも下町・中町・上町の順に各地区の特徴を見学しつつ、水場や鍵の手といった構成要素が宿場町の歴史性をどのように示しているのか確認しました。江戸時代に将軍に献上する宇治茶を江戸へ向けて運んだ「お茶壷道中」の再現も宿場祭に合わせて行われており、宿場町奈良井の歴史性を理解する良い体験となりました。
お茶壷道中
見学後には学生同士で議論を行い、巡検を通じて気づいたことを共有しました。学生からは、「奈良井の方が町なみとしては美しいが、木曾平沢は暮らしに合わせて町なみを変えているように思う」「木曾平沢も奈良井もどちらも漆器店があったが、その店構えや扱っている商品には大きな差がある」といった両地域を比較する意見や、「木曾平沢はありのままの生活風景のように見えたが、漆工町の特徴を残すための修景事業が各所に施されていた」「一見生活感のない奈良井も、裏側に回ると生活感にあふれておりそのギャップにも魅力があるのではないか」といった各地区のあり方をより深く分析するような声も聞かれました。
まちなみの様子について学生同士でディスカッション
最後に、熱心に木曽平沢について研究を進めており、この巡検の開催にあたっても大きく尽力していただいた巣山ほのかさん(観光ホスピタリティ学科3年)のコメントを紹介します。
<学生コメント>
奈良井宿の宿場祭・木曽平沢の漆器祭を巡り、「宿場町」と「漆工町」という異なる特徴を持つ町並みを比較しながら歩くことが出来ました。祭りの様子などのまちなかの雰囲気だけでなく、訪れている観光客の層も異なっていて、ふたつの町の違いを改めて実感することができました。漆器祭の方では、地元の工房の方のお話も聴くことができ、とても充実した一日となりました。
当日参加いただいた学生の皆さん、本当におつかれさまでした!また、お忙しい中、急遽オブザーバーでご参加いただいた総合経営学科の古川先生、香川大学経済学部の丸山先生に厚く御礼申し上げます。脇園ゼミでは、学生ならではの視点を大切にしながら、これまで地域で育まれてきた文化遺産を次の世代へ伝えていく方策を考えるべく、今後も歴史的な町並みをはじめとする様々な遺産地域での巡検を行っていきます。