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健康科学研究科大学院生 丸山翔さんの研究論文がオープンアクセス誌に掲載されました
大学院健康科学研究科
スポーツ健康学科
教授 河野 史倫
健康科学研究科博士後期課程1年生 丸山翔さんの研究成果が、オープンアクセス学術誌「Laboratory Animal Research」に掲載されました。
本研究は、「骨格筋が加齢によってなぜ衰えるのか」という身近で重要な疑問に挑んだものです。私たちの体の設計図であるDNAは、ヒストンというタンパク質に巻き付いて保護されています。この構造は、エピジェネティクスと呼ばれる仕組みによって変化し、遺伝子の働きやすさを左右します。これまでの研究で、加齢によって骨格筋のDNAが固く凝集し、運動に対する反応が弱くなることが分かっていました。
今回の丸山さんの研究では、ヒストンの中でも加齢に伴って増加するタイプである"H3.3"に着目しました。若いマウスの骨格筋では、このH3.3に「S31ph」という化学修飾が付いており、DNAが過度に凝集しないよう守っていました。しかし、加齢によりこの修飾が大きく減少すると、DNAがH3.3に強く巻き付き、凝集した構造をとるようになり、その結果、骨格筋が運動に反応しにくくなることが明らかになりました。さらに、S31phと同じ働きをもつ特殊なH3.3を実験的にマウスの骨格筋に導入すると、中年期でも運動への応答性を維持できることが確認されました。
今回の成果によって、筋老化の仕組みの一端をより明確に示すことができました。現在は「なぜS31phが加齢で減少するのか」や「生活習慣との関連性」に注目した研究を進めています。これらが明らかになれば、筋老化を遅らせたり、若返らせたりする新しい方法の開発につながることが期待されます。
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