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上月ゼミ企画で「焚火✖哲学カフェ」を行いました
学校教育学科
准教授 上月 康弘
5月15日(水)、梓水苑で焚火を囲んだ哲学カフェを行いました。哲学カフェとは、日常において哲学的なテーマについて経験や文献をもとに対話をする場です。とはいえ完全なフリートークではなく、対話を構造化し、ある程度制御するファシリテーターが必要です。上月ゼミでは、長野県松本市の自然を生かし、焚火を囲みながら哲学的な対話を行うことを発案しました。
第1回「焚火✖哲学カフェ」のテーマは、「自己肯定感とは何か。」でした。下記に学生たちの話し合いの姿を記録しておきます。
・小学生の時は親からの評価が厳しかったため、自分もそれに応えようと思っていたときは自己肯定感が低かった。習い事をとおして自分ができるようになったことや、「自分はこのくらいでいい」と目標を下げたときからとても楽になった。
・自分の行動を変える、行動をすることで新しい環境が生まれた。その環境で出会う他者や場で精一杯取り組んでいたら、自分も成長できた。自分の中では「行動を起こすこと」が軸になっている。
・周りの人と比べると、自分の能力が足りないと感じることがあり、落ち込むことがある。
・人の役に立っていないのではないかと感じることがある。
・新しい環境に飛び込むことが苦手だったが、飛び込んでみることで違う世界や自分を見つけることができている。楽しいと思うことをどんどんやってみたい。
・人から褒められたとしても、自分では「もっとやれる」と納得できていないことがある。いつも、もっとやれたのではと目標を高く設定するので、自己肯定感は高くない気がする。
・そんなに高い目標は持っていないが、友達や友達の言葉に支えられている。自分の周りにはいい友達がたくさんいるので、それでいいと思えている。
学生たちのそれぞれの経験や今の思いから、共通点を抽出し、自己肯定感を保つための要素がいくつか導き出されました。
・人と比べるのは、思考のくせ。過去の自分と比べるくせをつける。
・とにかく行動してみる。
・時には目標を下げる。自分の状態にあった目標を設定する。(例えば、焚火やキャンプをすると、風が吹いていたり、星がきれいだったりするだけで幸せを感じることができる。)
・現実世界の空間にかわる「もう一つの世界」の空間をもつ。
・自分が楽しいと思うことを、他者の評価を気にしないで躊躇なくやってみる。
学生どおしの本音の語り合いをする姿、真剣に自己に向き合う姿はとても輝かしいものでした。初の試みでしたが、企画してとてもよかったと思います。
話し合いの後は、「自分が楽しいと思うことをやってみようと思う。」「みんなが同じようなことで悩んだり、考えたりすることが知れて、安心した。」「普段こんなに深い話をしていなかったけど、焚火を囲んで安心して話すことができた。」といった感想が出されました。焚火を囲んだ哲学カフェによって、全員の一体感やつながりが生まれた気がします。
ゼミ生の皆さんは、今回生まれた新たな認識を、気づきだけで終わらせるのではなく、意識を継続して欲しいと思っています。上月ゼミの自己内対話研究は、これからも進んでいきます。
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