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2025/04/17
  • 教育研究情報

健康科学研究科修了生・清水純也さんの論文がオープンアクセス誌「Physiological Reports」に発表されました

大学院健康科学研究科
スポーツ健康学科
教授 河野 史倫

本学大学院健康科学研究科において2025年3月に博士学位を取得し修了した清水純也さんの論文がオープンアクセス誌「Physiological Reports」に発表されました。本研究は清水さんが本学在学中に行った研究です。

エピジェネティクスは遺伝子を構造的に変化させることで制御する仕組みであり、これまで我々は運動によって起こるエピジェネティクスが骨格筋の運動応答性を高める要因になることを報告してきました。今回の研究では、運動不足などの筋不活動によって起こる筋萎縮にエピジェネティクスがどのように関与しているのかを調べました。マウスを尻尾で吊り下げて足の筋肉に負荷がかからないようにすると、3日目では筋量は変化しませんでしたが、7日目で筋量の低下(萎縮)が起こりました。筋萎縮に関連する遺伝子も同様に、3日目では変化せず、7日目で低下しました。そこで、遺伝子転写を強く抑制することが知られているエピジェネティクスである"DNAメチル化"を調べたところ、7日目だけで増加していることが分かりました。さらに興味深いことに、DNAメチル化の前段階として、3日目ではH3K27me3という遺伝子を凝集させる化学修飾が増えていることも分かりました。これらの結果から、慢性的な筋不活動では、比較的早期の段階で「遺伝子発現を抑え込む仕組み」が働いていたことが明らかになりました。今回の研究では、遺伝子が筋萎縮の準備を始めるまでにどれくらいの期間を要するのかについて重要な知見が得られました。筋量が低下しないためにはどれくらいのペースで運動が必要なのかを紐解く手がかりになると期待できます。

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本研究は清水純也さんが在学中に獲得した科研費(特別研究員奨励費)の助成によって実施されました。

論文掲載サイト(英語)

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