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2025年度入学式を挙行しました
2025年度入学式を4月4日に挙行しました。本年度は、松本大学・松本大学松商短期大学部・松本大学大学院で計655名の入学生を迎え、新たな学生生活の一歩を踏み出しました。
春の日差しが心地よいキャンパスには、期待を膨らませた新入生の笑顔が溢れていました。入学生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
告辞
新入生の皆さん、松本大学・松本大学松商短期大学部並びに大学院へのご入学おめでとうございます。教職員一同、皆さんを心より歓迎し、お祝い申し上げます。また、ご両親をはじめとするご家族の皆様、関係者の方々にも心よりお慶びとお祝いを申し上げます。本日はまた、たいへんご多忙の中、山崎大学委員長・同窓会長並びに藤田後援会長の方々にもご臨席を賜り、厚く御礼を申し上げます。
北アルプス、上高地、美ヶ原など雄大な自然に囲まれた日本の中心地、松本市に位置する本学は、127年に及ぶ松商学園の「自主独立」という建学の精神の下で、とくに市民の要望やニーズに応え、「地域を愛し、地域を育てる」大学として社会に優秀な人材を送り出すことを使命としています。
先ずは建学の精神「自主独立」についてお話をしますと、これは慶応大学を創設された福澤諭吉先生の言葉であり、他からの干渉や保護を受けず、独立して事を行うことを意味しています。ご存知のように、デジタル技術の急速な進化や新型コロナウイルスによるパンデミックなど、近年はこれまで経験したことがないような変化が起きています。先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態が続くVUCAの時代を迎えています。第三者からの援助を当てにするだけではなく、自分にできる範囲で精いっぱいの努力をして、うまくいかなければ責任を取るという覚悟、まさしく自主独立の気概が経営者やリーダーのみならず、あらゆる人々に求められています。とくに若い皆さんには無限の可能性がありますが、しかし、自主独立の状況におかれないとその可能性が発揮されないかも知れません。本学の在学中に、学業においても課外活動においてもこの「自主独立」の精神をしっかりと身に付けていってもらいたいと思います。われわれ教職員だけでなく、在学生の保護者の会である後援会や卒業生たちの同窓会からの温かいご支援ご協力の下で、多くの人たちが温かく見守って皆さんの成長を支えていきたいと思います。
さて、皆さんはすでにこれまでの学校教育において「生きる力」を学び、しっかりと身に付けてきたと思います。これからの大学生活においては自分探しの旅、言い換えれば「生き方を学ぶ」段階に入ります。それぞれの夢や目標は異なっていても、「生き方を学ぶ」点においては共通しています。是非とも忘れていけないことは、そこに「愛」を持ってもらいたいということです。いくら知識や技能を修得したとしても、愛のない知識や技能は何の役に立ちません。私は教育学を専門としていますが、わが国の教育界にも大きな影響を与えたペスタロッチという教育者がいました。もうすでに200年以上も前の人ですが、彼は人間は生まれながらにして三つの生きる力を持っている、すなわち頭(Head)には「知力」、手(Hand)には「技術力」、そして胸(Heart)には人を思いやる「心情力」があり、それらを引き出す(educate)のが教育で、知力を引き出すのが知識教育、技術力を引き出すのが技術教育、そして心情力を引き出すのが道徳教育あるいは宗教教育という三つの教育を構成したわけです。ペスタロッチの3H論とも言われます。これらの三つの力の中で中心は「心情力」ですが、さらにこれらの三つの力はバラバラに存在するのではなく、有機的に結合し調和・発展させる力が存在し、それが「愛」であると強調しました。したがって、「愛」というのは、知力や技術力それに心情力の上位概念に位置し、言ってみれば教育の根本原理は「愛」ということになります。
では「愛」とはどのように捉えたらよいのでしょうか。普段何気なく使っている言葉ですが、いざその意味は?と聞かれてもすぐには思い浮かびません。一般に、抽象的な言葉を理解する時にはその反対語を考えればいいと思います。「あいぞう(愛憎)」という用語があるように、入学試験では「憎む」が正解かも知れませんが、われわれ教育学の世界では「無視」とか「無関心」といった相手の存在を否定することが対極となります。その意味で、「愛する」とは「関心をもつ」ということになります。相手の人格を否定することなく、誰に対しても「関心を寄せる」姿勢が求められます。参考にしていただければ幸いです。
最後に、是非とも、皆さんのそれぞれの夢や目標を、本学のキャンパスを起点として、実現していってもらいたいと願っています。皆さんが、自主独立の気概をもって、本学で幅広い学識と強靭な自立心を身につけ、明るく希望の多い未来を切り拓いていってくれることを強く期待して、私の告辞といたします。本日は、誠におめでとうございます。
2025年4月4日
松本大学
松本大学松商短期大学部
松本大学大学院
学長 清水 一彦
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