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理科ゼミでジオパーク巡検を行いました(その1)
学校教育学科
教授 澤柿 教淳
理科ゼミで立山黒部ジオパークに関わる巡検を行いました。今回は黒部川流域の扇状地や湧水をめぐる巡検プログラムを計画しました。北アルプスは今もなお隆起を続けているとともに、峡谷が深く刻まれ続けている現場でもあります。現地講師として専門家のI先生ならびに博物館のN先生の2名にお越しいただいたことで、より質の高い学びを得ることができました。心より感謝申し上げます。
黒部宇奈月温泉駅前には、北アルプスから黒部扇状地までを一望できる巨大ジオラマがあります。高低差4,000mの地形、多様な動植物の存在、豊富な水の恵などなど、圧倒的なインパクトを感じながら受講させていただいたことは新鮮な体験でした。
さっそくフィールドに出ました。最初の観測地点では、「十字石」(約2億4千万年前に変成作用を受けてできた稀な鉱物)の観察を行いました。それが太古の地球の姿を語りかけていることを実感させられました。2億5千万年前にパンゲア大陸誕生といった地学的イベントがあったことや、日本列島形成時のことを想像することはロマンあるふれる体験でした。
黒部川扇状地を一望する巨大ジオラマ
約2億4千万年前に変成作用をうけた「十字石」
次のポイントである愛本橋付近では、リゾイタイトという緻密な結晶の鉱物があることを知りました。このような鉱物が含まれていたことが、その後そこに愛本橋が架けられることになった理由の一つでもあり、今日の文化的な遺産となっていることと深く関わっているということ学ぶことは、まさにジオパークという枠組みで学ぶことの醍醐味でした。
次に、愛本橋付近の地層を下部から確認できる路頭へ移動しました。そこは、主に礫岩からなる上層と、砂岩や泥岩からなる下層が不整合で重なっているのがはっきりとわかる場所した。上層は数千〜3万年程度前、下層は10〜30万年前の地層であると考えられました。過去の扇状地の地形を段階的に観察することで、私たちは、時を飛び越えたり、時を止めたりしている錯覚になりました。その後は、さらにその地層を上部から視認し、過去から現在までの扇状地の形成過程を学びました。
扇状地の形成過程を物語る地層
手前:扇状地上部に広がる田畑や集落
奥:傾斜した低山は過去の扇状地の名残
次に、黒部川の河原にまで近づいて、実際に岩石を観察しながらご指導を受けました。このような学びの経験は、学生らが事前に望んでいたことの一つでした。本日観察した花崗岩をはじめ、通称「パンダ石」(世界で一番新しい花崗岩と言われる「黒部川花崗岩」)などを観察したりしました。この日であった岩石の表情はきっと忘れられないものとなったことと思います。
日が暮れた頃、私たちは博物館に入り、黒部川中流にかかる「愛本橋」(日本三奇橋の一つ)の刎橋の構造を学びました。とりわけ、刎橋構造や強度についてモデルを操作しながら体験的に実験ができるように工夫された展示方法は、私たち教員をめざす者にとって示唆の多いものでした。講師の先生方の発想と熱意に感服いたしました。
世界で一番新しい花崗岩と言われる黒部川花崗岩(通称「パンダ石」)
本日のご指導を受けながら、学生らは、自分たちがまさに「ブラタモリ」に実際に参加しているような気持ちになった、次から次へと疑問がわいてきてあっという間に時間が過ぎてしまった、といったような感想を口にしていました。それは私もまったく同感です。(つづく)
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