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理科教育実践者の研修会および講演
学校教育学科
教授 澤柿 教淳
隣県において開催された理科サークル第3回研修会において講演をさせていただきました。本理科サークルは、県内の理科教育の実践を支えてきた実践者集団が、常日頃から自主的に勉強し合う場となっています。この場に参加させていただけたことを光栄に思っております。実際、この日ご発表のあった2つのご実践は、どれも提案性が高く、私自身学びの多いものとなりました。
1つ目は、第4学年理科「電流の働き」において並列回路の電流に着目する場面がとりあげられていました。中でも、回路の至る所で電流を測定することができるように教材が工夫されている点は注目に値します。並列回路では、児童らの素朴概念を揺さぶる事象がいくつかみられます。例えば、2個の乾電池のうち1つを外しても豆電球は点灯し続けること、しかも、その明るさは半減しないこと、などです。児童らは、並列回路の中を流れる電流の不思議さに直面していきますが、学習者の多様な疑問に真正面から応え、その問題解決を支えていこうとするには、それに応じた教材や学習の場が必要になります。子供の姿から学ぼうとする授業者の意気込みを感じさせていただきました。
2つ目は、AAR理論という枠組みに応じて設計された複数の実践についてのご発表でした。中でも圧巻だったのは、学習の計画を子供たち自身が立てながら多種多様に問題解決を展開していく姿でした。個々の実験道具が並ぶ実験室の中で各自が実験に取り組みつつ、ICTを駆使しながら必要に応じて情報や課題を共有し、学びを深めていく様子は近未来の学校像をみているかのようでした。このようないわゆる自由進度学習といわれるご実践ができるのは、実践者の先生ご自身がそのよさも、潜んでいる課題も熟知しているからこそのことです。複数の実践を総括されたご発表には参加者一同納得したところでした。
私からは、このような優れた教材開発やカリキュラムマネジメント、授業デザインの視座を踏まえた上で、45分間の授業構想のあり方について提案させていただきました。上記のようなご実践は、緻密な45分間単位の授業の積み重ねであるはずです。そうであるならば、一単位授業のもつ意味を理解し、それを問題解決過程の設計に具体的に落とし込んで位置付けることが求められると考えています。このとき大切にしたいことは、従前の考えにとらわれることなく、あくまでも子供の姿、実態から学ぶという姿勢だと思います。
今後とも、一緒に学ばせていただけることを願っております。
問題解決過程の設計の視点
子供に学ぶ問題解決の実態とその検証
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