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健康科学研究科博士前期課程1年・篠﨑智貴さんが第78回日本体力医学会大会で大塚スポーツ医・科学賞を受賞しました
大学院健康科学研究科
スポーツ健康学科
教授 河野 史倫
9月2日~4日に佐賀大学にて開催された第78回日本体力医学会大会において、本学健康科学研究科博士前期課程1年の篠﨑智貴さんが大塚スポーツ医・科学賞(奨励賞)を受賞しました。大塚スポーツ医・科学賞は、日本体力医学会と大塚製薬の共催により設立された「スポーツ医・科学の研究分野における主として若手研究者の育成及び振興」を目的とした学会賞です。今年の奨励賞は約140件の対象演題から選出されたことが、選考委員長である永富良一日本体力医学会理事長から報告されました。このような名誉ある賞をいただけたことを、大変光栄に思います。
左から篠崎さんと永富良一日本体力医学会理事長(東北大学)
篠﨑さんはスポーツ健康学科3年次から卒業研究テーマとして、骨格筋の運動効果を増進する仕組みについて研究を行い卒業論文をまとめました。この卒業論文の内容が今回受賞した演題のテーマでした。運動に対する遺伝子の反応を制御する"エピジェネティクス"という仕組みに着目し、「習慣的な運動はなぜ骨格筋の運動応答性能を亢進するのか」という研究課題にアプローチしました。
受賞講演を行う篠崎さんと座長の松山郁夫大会長(佐賀大学名誉教授)
その結果、骨格筋の幹細胞であるサテライト細胞の活性化と運動によって起こるエピジェネティクスに深い関わりがあることを明らかにしました。篠崎さんは現在博士前期課程においてこの課題についてさらに深く研究を進めています。このような運動によって起こるエピジェネティクスは運動効果を記憶する仕組みとしても知られており、生涯を通じて衰えにくい体質をつくるためにはどのような運動習慣が必要なのか、その科学的知見を本学から発信できるよう今後も研究を進めていきたいと思います。
この度は大変素晴らしい賞を受賞することができ、日本体力医学会選考委員の先生方、受賞講演の機会を与えてくださった第78回大会の関係者様、そして大塚製薬様に心より感謝申し上げます。
<受賞した篠﨑さんのコメントです>
この度、9月2日~9月4日に佐賀大学において開催された第78回日本体力医学会大会において大塚スポーツ医・科学賞奨励賞を賜りました。このような大変名誉ある賞を頂き光栄に感じております。受賞に際し選考委員の諸先生方、協賛の大塚製薬様、発表の機会を与えてくださった学会関係者の方々に心より感謝申し上げます。
運動は身体にさまざまな効果をもたらしますが、その運動効果獲得には個人差があります。個人差の形成には、遺伝子の転写調節機構であるエピジェネティクスが寄与するとされていますが、その詳細は明らかではありません。
本研究では、サテライト細胞と呼ばれる骨格筋幹細胞が運動で起こるエピジェネティクスに対し重要な関わりを持つ細胞であることを発見し、運動効果獲得の仕組みの一部が明らかになりました。
将来は、運動で起こるエピジェネティクスの詳細を明らかにしていくことで運動効果を得やすいトレーニングをパーソナライズすることや、加齢で骨格筋量が低下するサルコペニアと呼ばれる病態の予防・治療にも繋がると考えております。
今回の研究・学会発表を通じて、失敗から解決のため原因の模索や別の手段を図る研究の難しさを感じました。また、学会発表での伝え方、質問に対する回答など勉強不足な点が多々あり、未熟さを痛感致しました。この経験を糧に学会発表などを重ね、多くの研究成果を発表していきたいです。
末筆でありますが、研究に関わってくださった多くの方にも感謝申し上げると共に今後も一層力を入れて研究活動に努めてまいります。
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