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理科ゼミでジオパーク巡検を行いました(その2)
学校教育学科
教授 澤柿 教淳
理科ゼミで立山黒部ジオパークに関わる巡検を行いました。今回の続報は、黒部川流域の、特に河口付近から海岸線を中心に巡った時の報告です。
プログラムの起点となったのは、黒部市生地地域に点在する清水の一つでした。実際に水量や水温を測定し比較してみると、同じ場所から湧き上がっているのにその水量が一目でわかるほど異なる、などいくつかの不思議な事象に気付かされました。次第にこの水はどこからくるのか、なぜここで湧出しているのか、といった疑問が出てきました。
すかさず他の地点へ移動して同様の測定を行うとともに、周辺の地形を観察しました。いくつかの情報をもとに考察することで、さっきまでの疑問が少しずつ解明されていく手応えを感じていくことができました。同時に、用水の流れが海側から山側へと流れていること、用水の中に「源流」や「分水嶺」のようなポイントがみられることなど、新たな疑問も芽生えてきました。まさに謎が謎をうんでいくのです。やがて、地面の傾斜の原因や地名の由来などが徐々につながりはじめ、心が躍りました。お二人の先生方の明快な解説とあいまって、断片的な知識や体験が体系的なものとなって理解されていきました。私たちは学ぶことの楽しさを感じ充実感に包まれました。
「生地の清水」の調査体験
淡水魚等の採捕体験と観察
うけた「十字石」
トミヨが棲息する用水では、実際に淡水魚等の採捕を体験させていただきましたことは、特に学生にとって新鮮な体験であったようです。自ら採捕したアメリカザリガニやカダヤシを目の前にしながら、メダカなどが繁殖できるような環境は、多様な自然が何重にもかかわってはじめて保全できるということを身をもって納得したようでした。
次に訪れた杉沢の沢スギは、平地の湧水地に生育する自然林です。この中にもう一つの「源流」を確認しましたが、これまでの扇状地の学習が結びつく一瞬でもありました。そして自然本来の営みを知るとともに、そこに関わる人の生活もまた自然の一部なのだということを学びました。
「沢スギ」の探索
ヒスイがみられる宮崎海岸にて
最後に、宮崎海岸まで足を伸ばしました。ここではヒスイがみられます。荒々しい高い波はいかにも日本海の姿でしたが、姫川からこの海岸までヒスイがどのような旅をしてきたのか、大海原を前に想像する楽しいひとときでした。学生たちは、「このまま終わりたくない。ずっとみんなと巡検を続けていたい」、「地層や岩石の現地観察体験、淡水魚の調査体験など大学で一度やってみたいと思っていたことができた」、「大学に戻ったら、この体験や知識をどうまとめたらよいかしっかり考えたい」、などと口々に話していました。眼前に広がる北アルプスのもとで、質の高い学びをさせていただいている贅沢な時間でした。
改めまして、2億5000万年前の岩に触れ、太古の地層を仰ぎ、河原におりて花崗岩等を手にとり、街中の湧水を巡りながら、淡水魚等と出会い、沢スギの林の中をめぐって日本海にたどり着く、壮大な巡検プログラムをご提供くださいました現地講師の先生方に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
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