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地域公開講座『平和のために私たちは何かできるか』を開催
健康栄養学科長
教授 髙木 勝広
10月22日(金)、本学において、弁護士で前札幌市長の上田文雄氏を講師にお招きし、地域公開講座「平和のために私たちは何ができるか」を開催しました。本講座は、菅谷昭学長が力を入れる若者への平和教育の一環で企画・実現したもので、健康栄養学科や観光ホスピタリティ学科の学生ら約100名が対面およびオンラインで聴講しました。
初めに上田氏は、札幌市と松本市が観光と文化を基調に市が発展してきたという共通点から、菅谷学長(前松本市長)と交流を重ねてこられたことに言及されました。2010年には「観光・文化交流都市協定」を結び、観光・文化活動の連携、さらに行政だけではなく市民レベルの交流を進めてきたこと、また市長退任後も交流は続き、2019年には松本市観光大使に就任されたことが紹介されました。
次に、松本市がなぜ熱心に平和に取り組んでこられたのかについて話を展開。松本には、戦闘機の機体を特別攻撃用に装備するまでの約一か月間、特攻隊が松本に滞在していた歴史がある。そのなかで、疎開に来ていた東京からの子供たちとの交流があった。子供たちは、特攻隊を鼓舞する手紙を書いた(鉛筆部隊と呼ばれた)。しかし、特攻隊の青年は戦争で皆命を失ってしまう。このような特攻隊と密接なつながりのある街―松本だから、平和にこだわるのではないか、との考察が述べました。
平和の反対は何か、それは戦争である。日本は、明治維新後、日本は何度も戦争をして多くの戦死者を出してきたが、戦後76年間は戦争をせずに一人の戦死者を出さずにこられた。それには2つの理由があるとし、1つは戦争放棄などを宣言する憲法第9条の存在、そしてもう一つは日米安全保障条約による抑止力があると説明した。さらに、日本国憲法における憲法前文は、武力によらない安全保障こそが現実的な平和を作っていくことを宣言したもので、今の私たちの平和の生活を大事にする、または今後も維持していくためには、とても大切であると強調した。日本の自衛隊の存在意義について触れた後、昨今の憲法改正論にも話が及んだ。政治家の中には憲法9条は「空想的平和主義」だとの意見があるが、もし核戦争時代に戦争になればどうなるのか。深刻に考えるべきで、武力で安全を保持しようということこそ、空想的で非現実的である、と語りました。
今回の講演会では、現在の日本における平和な社会を理解するうえで重要な話を聞くことができました。学生からは、平和について深く考える良いきっかけになった等のコメントがありました。将来の社会の担い手である学生たちに様々な刺激を与えられる講座を今後も推し進めて行きたいと考えています。