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2016/12/26
- 教育研究情報
考房『ゆめ』の"ええじゃん栄村プロジェクト"が、信濃毎日新聞サンデー評論で高く評価
地域づくり考房『ゆめ』の"ええじゃん栄村"プロジェクト(人間健康学部8名、総合経営学部3名、松商短期大学部1名)が2016年12月18日付信濃毎日新聞サンデー評論面で紹介されました。
これは農水省主催「食と農林漁業大学生アワード2016(11/6開催)」において審査委員長を務められた名古屋大学大学院教授の生源寺真一氏が執筆した記事で、鳥取大、東海大農学部とともに「持続的な活動が高く評価されたケースもある」として松本大学が紹介されました。
今回、生源寺教授の許可を得て以下に全文を掲載いたします。
大学の教員ならではの喜びを感じるひとときがある。卒業後の教え子がめでたく結婚したとの朗報に接したときである。心のこもった挨拶状が届くこともあるし、写真入りの年賀状でうれしい報告をもらうケースもある。二人の門出を祝う会に出席したことも少なくない。近年はリラックスしたパーティー方式も多いが、かつては厳粛な結婚式とその後の披露宴で仲人を務めたこともある。
先月のことだが、やはり卒業生が結婚するとの知らせを受けて、お祝いのメッセージを送った。ただし新郎新婦とも普通の意味での教え子ではない。都内の複数の大学をつなぐ学生サークルの卒業生なのである。10年前に生まれたサークルで、食と農がメインテーマであることから、当時は東大農学部に勤務していた私もしばしば相談に乗り、活動を側面から支援していた。そんな経験もあって、名古屋大へ転勤後もサークル顧問の肩書は続いている。今回の祝意のメッセージのように、たまには現役のメンバーやOB・OGと交流する機会もある。
北は北海道から南は九州まで全国から36団体の応募が寄せられた。書類による事前選考を通過した10のサークルが最終審査に臨んだ。5分間のプレゼンテーションを披露し、その後に審査委員の質問に答える段取りだが、例外なく非常に緊張した様子が伝わってくる。
教室やゼミでの発表とは別世界なのだろう。むろん一番大切なのは活動の中身である。今年のチャンピオンに選ばれたのは鳥取大の「農村16切符プロジェクト」。大学生と農村を結ぶ持続的な取り組みが高く評価された。
中山間地の広がる鳥取県では、農家数の減少と高齢化で人手不足の悩みを抱える集落も多い。そんな農村に学生のボランティアを送り込み、農作業や祭りの準備などを手伝うことが活動の柱となっている。定期的に交流する集落が増えるとともに、活動の範囲が県外にも及ぶようになった。現場での新鮮な体験がインパクトになって、農村に移住して農業にチャレンジする卒業生も現れている。社会的な影響力を伴ったサークル活動なのである。
熊本地震震災直後に活動を始めた地元の東海大農学部を中心とするサークルで、熊本県阿蘇村を拠点に農作業の支援や仮設住宅の買い物代行などを実行している。学生ならではのスピード感が印象的だった。
持続的な活動が高く評価されたケースもある。松本大(松本市)の学生による「ええじゃん栄村」は2011年3月12日の長野県北部地震の直後に結成され、下水内郡栄村を応援する取り組みを継続している。専門の栄養学をベースにさまざまな活動実績があるが、地元食材を活かした栄村の活性化が基本コンセプトだ。最近では地元の山菜「イタドリ」を使った料理のレシピ集を作成・配布し、多くの反響を呼んでいる。
学生にとってのサークルは、あくまでも卒業までの期間限定の活動である。けれども優れた活動の理念は先輩から後輩へと引き継がれていく。同時に、卒業後の職業や暮らしに有形無形の影響を与えているのもサークル活動である。なかには冒頭に紹介したとおり、大きな副産物として生涯のパートナーを得たケースもある。いや、この場合は主産物というべきかもしれない。
また、"ええじゃん栄村プロジェクト"は同アワードにおいて、審査員をつとめた株式会社マイナビよりファイナリスト特別賞を授与されています。
この賞は同社の"マイナビ学生の窓口"を通じて、『ええじゃん栄村』の活動や栄村への観光や復興支援につながる情報発信を行えるものとなります。
これは農水省主催「食と農林漁業大学生アワード2016(11/6開催)」において審査委員長を務められた名古屋大学大学院教授の生源寺真一氏が執筆した記事で、鳥取大、東海大農学部とともに「持続的な活動が高く評価されたケースもある」として松本大学が紹介されました。
今回、生源寺教授の許可を得て以下に全文を掲載いたします。
タイトル 食と農 多彩なサークル
名古屋大学大学院教授 生源寺 真一
名古屋大学大学院教授 生源寺 真一
大学の教員ならではの喜びを感じるひとときがある。卒業後の教え子がめでたく結婚したとの朗報に接したときである。心のこもった挨拶状が届くこともあるし、写真入りの年賀状でうれしい報告をもらうケースもある。二人の門出を祝う会に出席したことも少なくない。近年はリラックスしたパーティー方式も多いが、かつては厳粛な結婚式とその後の披露宴で仲人を務めたこともある。
先月のことだが、やはり卒業生が結婚するとの知らせを受けて、お祝いのメッセージを送った。ただし新郎新婦とも普通の意味での教え子ではない。都内の複数の大学をつなぐ学生サークルの卒業生なのである。10年前に生まれたサークルで、食と農がメインテーマであることから、当時は東大農学部に勤務していた私もしばしば相談に乗り、活動を側面から支援していた。そんな経験もあって、名古屋大へ転勤後もサークル顧問の肩書は続いている。今回の祝意のメッセージのように、たまには現役のメンバーやOB・OGと交流する機会もある。
■全国各地に誕生
食と農の学生サークルが変わった。何よりも全国各地の大学に誕生している。10年前の農業系サークルはまさに珍品だった。テーマが多彩になったことも間違いない。そんな学生サークルの活動を実感できるイベントが開催された。東京の大手町で先月行われた「食と農林漁業大学生アワード2016」である。学生サークルのコンテストで、今年で5回目となった。珍品時代からサークルの顧問であることも多少関係しているようだが、初回から審査委員長を仰せ付かっている。北は北海道から南は九州まで全国から36団体の応募が寄せられた。書類による事前選考を通過した10のサークルが最終審査に臨んだ。5分間のプレゼンテーションを披露し、その後に審査委員の質問に答える段取りだが、例外なく非常に緊張した様子が伝わってくる。
教室やゼミでの発表とは別世界なのだろう。むろん一番大切なのは活動の中身である。今年のチャンピオンに選ばれたのは鳥取大の「農村16切符プロジェクト」。大学生と農村を結ぶ持続的な取り組みが高く評価された。
中山間地の広がる鳥取県では、農家数の減少と高齢化で人手不足の悩みを抱える集落も多い。そんな農村に学生のボランティアを送り込み、農作業や祭りの準備などを手伝うことが活動の柱となっている。定期的に交流する集落が増えるとともに、活動の範囲が県外にも及ぶようになった。現場での新鮮な体験がインパクトになって、農村に移住して農業にチャレンジする卒業生も現れている。社会的な影響力を伴ったサークル活動なのである。
■震災復興に貢献
社会的な影響という意味では、今回のコンテストには過去にない特徴があった。それは震災に関連するサークル活動に優れた取り組みが多かったことである。最終審査会に選ばれたサークルのうち4団体が震災復興に貢献するテーマで活動している。そのひとつが熊本地震震災直後に活動を始めた地元の東海大農学部を中心とするサークルで、熊本県阿蘇村を拠点に農作業の支援や仮設住宅の買い物代行などを実行している。学生ならではのスピード感が印象的だった。
持続的な活動が高く評価されたケースもある。松本大(松本市)の学生による「ええじゃん栄村」は2011年3月12日の長野県北部地震の直後に結成され、下水内郡栄村を応援する取り組みを継続している。専門の栄養学をベースにさまざまな活動実績があるが、地元食材を活かした栄村の活性化が基本コンセプトだ。最近では地元の山菜「イタドリ」を使った料理のレシピ集を作成・配布し、多くの反響を呼んでいる。
学生にとってのサークルは、あくまでも卒業までの期間限定の活動である。けれども優れた活動の理念は先輩から後輩へと引き継がれていく。同時に、卒業後の職業や暮らしに有形無形の影響を与えているのもサークル活動である。なかには冒頭に紹介したとおり、大きな副産物として生涯のパートナーを得たケースもある。いや、この場合は主産物というべきかもしれない。
また、"ええじゃん栄村プロジェクト"は同アワードにおいて、審査員をつとめた株式会社マイナビよりファイナリスト特別賞を授与されています。
この賞は同社の"マイナビ学生の窓口"を通じて、『ええじゃん栄村』の活動や栄村への観光や復興支援につながる情報発信を行えるものとなります。