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2016/06/07
  • 教育研究情報

教員免許状更新講習を実施して

松本大学大学院
健康科学研究科長/教授 山田 一哉


去る6月4日(土)、今年度の教員免許状更新講習を実施しました。
高木教授、浅野助手、塚田助手と私の計4名で担当しました。科目は主に栄養教諭向けの選択科目で、「体質に関わる遺伝子型解析実験」という実験実習です。本実験は、高校生向けに開催している日本学術振興会の「ひらめき☆ときめきサイエンス」や高大連携出張実験教室で行っている内容と同じです。
しかし、解説に用いる資料等は教員向けに専門性を高めたものになっています。参加者は栄養教諭7名、幼稚園教諭2名、農業高校教諭と教育委員会の先生の計11名で、昨年の約半数でした。

受付後、オリエンテーションを行い、1日のスケジュールを確認しました。その後、唾液採取を行うところから実験を始めました。唾液の中には口腔粘膜からはがれた細胞が含まれるため、DNA を抽出するソースとして用いています。唾液を採取するのに苦労した人もいらっしゃいましたが、経験上、規定量以下でも十分 DNA は回収できるので先に進めました。実験に用いるマイクロピペッターの使用方法を説明し、実際に練習してもらいました。その後、様々な試薬を添加したり、遠心分離にかけたりして精製を進めました。エタノールを添加後、1回ずつ試験管を上下にひっくり返していくと、ある時点でふわっと DNA が析出します。このときは受講生全員が驚き、「それがご自身の DNA です。」っていうととても感動していました。次に、①お酒に強いか弱いか、②太りやすいかどうか、③パワー型の筋肉か持久型の筋肉か、の3種類から自分の調べたい遺伝子型を選んで、PCRを行いました。高校生の場合、①を選ぶ人が大半ですが、昨年同様先生では圧倒的に②が選ばれました。PCR反応を行っている間に、「一塩基多型と体質」についての講義を受けて、午前の部は終了し昼食・休憩となりました。
午後は、PCR反応産物をアガロースゲル電気泳動にかけました。このとき、試料をゲルにのせるのが少し難しいため、とても慎重に行っていました。一人の先生がうまくいくとグループ全員が拍手するという何とも和やかな一体感が見受けられました。電気泳動中に結果の解釈の仕方の説明を行い、電気泳動終了後に実際に写真に撮って自分の遺伝子型を決定してもらいました。実験は全員成功し、「思った通りだ。」とか、「え?、太っちゃうの?」とか様々な感想が出ました。その後に、遺伝子組換え技術の一例として、緑色や赤色のタンパク質を作らせる DNA を導入した細胞を生きたまま蛍光顕微鏡下で観察し、確かに外来の遺伝子が細胞内で発現していることを確認しました。
本日のまとめと質疑応答を行った後、試験を行いましたが、先生方はいずれも真剣に取り組んでおられました。最後に、講座に関する事後アンケートに答えていただいて、解散となりました。

先生方からは、生まれて初めてマイクロピペッターにさわったとか、実験がとてもおもしろかったとか、子どもたちにもさせてあげたいという意見が聞かれました。また、ティーチングアシスタントの4年生3名もこちらの期待以上に役割を果たしてくれました。
受講する先生からも、ティーチングアシスタントからも良い感想がたくさん得られたので、開講して本当に良かったと考えています。
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