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為末大さんの講演会「ハードルを越える」が開催されました

2月18日、人間健康学部・教育企画推進事業の一環として、「侍ハードラー」の異名を持つ為末大さんの特別講演会が、「ハードルを越える」と題して開催されました。為末さんについての説明はもはや不要かもしれませんが、2001年エドモントン世界選手権および2005年ヘルシンキ世界選手権において男子400mハードルで銅メダルを獲得、シドニー、アテネ、北京の3つのオリンピックに出場、そして同種目の日本記録保持者でもある、日本が世界に誇るトップアスリートです。今回は、2012年に現役を引退されるまでの25年間の競技人生について、自らのご経験を語られました。
 陸上競技を始められた頃は短距離の選手であった為末さんは、中学生の日本チャンピオンになるなど順調な競技人生を歩んでいましたが、世界で上を目指すために400mハードルという種目を選んだと言います。「『やりたいこと』と、『できること』は必ずしも一致しないため、自らの価値観でどちらを選択するかを決定しなくてはならない」、そして、世界グランプリへの出場を即決したご経験を振り返り(これが結果的には2001年エドモントン世界選手権での銅メダル獲得へとつながったわけですが)、「チャンスというのはちゃんとした形で来てくれない。最初に来たときにはそれがチャンスなのかわからない。自分の中で目標と必要なことをはっきりとさせておくこと、『いいな』と思ったものには躊躇せずに乗っかることが大切」、と語られました。
 また、為末さんが大学時代、憧れの選手であった伊東浩司さんの練習を取り入れた結果、自分には合わず3年間のスランプに陥ったご経験について、「高いレベルでは自分に合った練習を考えることが大事。自分がどこに分類されるのかを考える。すべての選手にとって良い練習というものはなく、合う練習だけがある」と話されました。これは講演の最後に引用された、「最も強いものが生き残るのではなく、最も賢いものが生き残るのではなく、変化に適応した種のみが生き残る」という、チャールズ・ダーウィンの言葉にも通ずるのではないかと考えられます。つまり、「型にはまる」のではなく、「How to」を求めるのでもなく、どうやったらうまくいくか、常に自分で考え、工夫を凝らしていくことの大切さを改めて認識させられる、貴重な機会となりました。
 講演終了後には、パネルディスカッション形式の質疑応答が行われ、パネリストや会場と活発な意見交換がなされました。為末さんは先述したとおり現役を引退された訳だが、すでにスポーツを通した社会貢献を念頭に置かれて活動されており、今後益々のご活躍が期待されます。


本稿は、松本大学人間健康学部スポーツ健康学科 齊藤 茂専任講師より寄稿いただきました。

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