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2013/01/21
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人口減少時代の地域金融機関経営について学ぶ -総合経営学科太田勉教授担当の「地域金融事情」で連続特別講義-

長野県経済は、2000年代初頭から人口減少による下押し圧力(人口オーナス)が働く中で、海外経済の変動に翻弄されてきました。とりわけ、リーマンショック後の海外需要低迷や歴史的な円高進行、欧州債務危機などにより、長野県経済を牽引してきた輸出企業は大打撃を受け、県内産業の空洞化が進行しました。
 こうした状況を踏まえ、総合経営学科の2012年度後期講義「地域金融事情」では、地元金融機関等から10回にわたって特別講師をお招きし、「人口減少時代の地域金融機関経営」に関する実践的な特別講義を実施しました。
 今回の連続講義をもとに長野県に拠点をおく地域金融機関の動向をみると、企業等の借入需要の低迷により、県内で集めた資金を県内貸出に回す役割(お金の地産池消)が後退しています。すなわち、地域金融機関は、首都圏等県外貸出の開拓、国債等証券市場での運用などにより、県外への資金流出を増加させてきました。
 人口減少時代には地域金融機関の経営は厳しくなるため、「預貸金利鞘で利益を上げるビジネスモデル」を修正し「顧客の投資サイドで利益を上げる方向」(企業の海外進出支援や海外証券投資のサポートなど)へ向かう必要があるとの指摘もありました。
 こうした中で、人口減少を背景とした地域産業縮小への危機感から、多くの金融機関がスポーツ振興(松本山雅FC)、地域観光振興、農業振興(アグリビジネス、食の相談会)など、「地域経済活性化」に注力する動きが目立ちました。また、中小企業などに対し貸付条件の変更などの支援に努めるよう金融機関に義務付けた「中小企業金融円滑化法」(2009年12月施行)が2013年3月に最終期限を迎えるため、地域の中小企業の倒産増が懸念されていますが、各金融機関とも地域力再生の視点から中小企業の自立支援に取り組む姿勢を示していました。
 就職活動を控えた受講生は、こうした地域経済の将来展望に関わるトピックに惹きつけられたように見受けられました。今後とも学生がビジネスの世界に触れ、興味を抱くような実践的な学習の機会を増やしていきたいと考えています。

2012年度「地域金融事情」特別講義一覧は >>こちら


本稿は、総合経営学科 太田 勉教授より寄稿いただきました。

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