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2012/09/04

夏期FD・SD研修会「地方私大の改革の前進に向けて」を開催しました

8月31日(金)、大学経営・組織の研究をはじめ多方面で活躍しておられる篠田道夫氏(日本福祉大学常任理事、桜美林大学大学院教授、中央教育審議会大学教育部会委員)をお招きして、大学教育水準の向上を目指す「FD(教員の授業改善)・SD(職員の職務内容改善)研修会」を開催した。今回の研修会では、全国の地方私立大学を数多く実地調査された経験などをもとに、今後の「地方私大の改革の方向性」についてご講演をいただいた。少子化、高校生の都市部への流出等により全国の地方私立大学が苦戦を強いられている中、大学教育改革に関する答申が公表された直後とあって、県内他大学・短期大学からも多数の参加を得て、活気あふれる研修会となった。



篠田氏によれば、私大の半分近く(46%)が定員割れという状況で、地方私大は厳しい経営環境におかれているが、地方私大といっても一様ではなく、マネジメントの優劣によって二極化している。私大はもともと個性が売り物であり、成功事例も千差万別で地方私大が「手本とすべきモデルはない」としながらも、優れた事例に共通するのは「教学改革を促すマネジメントの機能」とし、「2020年までにマネジメントの改革体制を固められるかどうか」が生き残り発展の鍵を握るとの見解を披歴された。

大学経営の優れた事例としては、地域密着型の教育手法、学生参加型の創意に基づく取り組み、教職員協働による改革力アップ、学生の学習支援のための教育支援機構充実、内外評価の徹底した活用などを挙げられた。そのうえで、こうした成功事例の推進方法を時間軸で整理してみると、教育目標(数値目標を含む)の明確化、中期経営計画による総合的な経営への取り組み、企業経営手法の大学への創造的応用というように「マネジメントの進化」が見て取れる。結局、何人の教職員が改革目標に向けて動いているか、そして「教学改革を促すマネジメント改革」を持続できるかどうかにかかっているのではないかと指摘された。



最後に、篠田氏は、今回の中央教育審議会答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」の策定に参画された立場から、答申で提起された「学修時間の増加」は改革の始点であり、「教育改善には教学マネジメントの改革が不可欠」というメッセージが、「全学的改革を進めようとしている多くの教学現場を励ますものになることを期待したい」と締めくくられた。




本稿は、FD・SD委員長 太田勉総合経営学科教授より寄稿いただきました。
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