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「スポーツ事故をいかに防ぐか」 シンポジウムを開催しました

去る7月22日(日)に、本学232講義室を会場として「スポーツ事故をいかに防ぐか-競技団体の取り組みを考える-」をテーマとしたシンポジウムが、日本スポーツ法学会と松本大学との共同で開催されました。スポーツ健康学科・授業「スポーツマネジメント論」(筆者担当)の受講学生、日本スポーツ法学会会員を含む研究者、弁護士、マスコミ関係者、被害者・関係者、教員、教育行政関係者ら約200名が参加しました。

日本スポーツ法学会(会長:浦川道太郎 早大法科大学院教授)は、昨年に成立したスポーツ基本法の制定に深く関わった学会です。同法では、スポーツの安全・事故防止について、スポーツ振興法(スポーツ基本法の前身)よりも、配慮した内容が盛り込まれました。同学会では、①本年度からの中学校での「武道の必修化」の完全実施により、柔道事故に関心が持たれていること、②他のスポーツでも、逆飛び込み事故、スクラムやタックルによる事故で頭部・頚部の事故が重大な結果を招く傾向にあること、の2点に着目しました。そこで、「スポーツ事故をいかに防ぐか」をメインテーマとして、筆者が同学会の事故判例研究専門委員会事務局担当の理事を務めていることもあって、松本大学と共同開催したものです。

主催者あいさつに続き、午前の基調講演として、石垣範雄氏(信州大学医学部附属病院)からは、「スポーツにおける頭部・頚部のケガを防ぐ」と題して、頭部・頚部の障害のメカニズムをお話しいただきました。わかりやすい説明で、聴講者のお一人からは、もっと多くの人に知っておいて欲しい知識である、とのご感想をいただきました。また、小林恵子氏(全国柔道事故被害者の会事務局)からは、「被害者の立場から事故防止を考える」とのテーマで、被害者・その家族の思いを語っていただきました。
後半のシンポジウムは、「競技団体は事故情報をどのように把握・公開しているか、すべきか」というテーマでした。コーディネータを望月浩一郎氏(弁護士)が務め、①日本水泳連盟(鈴木浩二氏)、②全日本柔道連盟(佐藤幸夫氏)、③日本ラグビーフットボール協会(古谷正博氏)の競技団体から、事故防止、情報の把握・公開への取り組みについて報告がありました。
選手、スポーツの指導を受ける者、その保護者らは、そのスポーツにどのような危険があるかをなかなか知ることができません。直接スポーツを指導する者でも、事故の情報を十分に知るには限界があります。競技団体こそが、より事故情報を把握し、その情報をスポーツ指導者に提供できる立場にあります。3競技団体とも、事故防止への熱意あふれる報告をしていただきました。
最後に、基調講演の演者お二人にもご参加いただいて、質疑・討論が行われ、活発な議論がなされました。このシンポジウムを機会に、関係者が共同して、事故防止対策を考える一つのきっかけとなることを期待したいと思います。

シンポジウム開催に当たって、近隣に食堂が無く、また昼食用の時間も短かく、昼食をどのようにしたものかと思案しました。そこで、健康栄養学科・矢内和博研究室(学生諸君)と「峠の釜飯」で有名な「おぎのやグループ」とが共同開発をした弁当「おいでなんしょ。信州御膳」(パンフレットは >>こちら)の提供を、学会員を中心にメール配信したところ、50個の申し込みがありました。後日、矢内先生から「ボリュームの割にカロリーが少ない」弁当と、お聞きしました。ほとんどの会員が完食で、何人かの方から「美味しい」との声をいただきました。 


本稿は、スポーツ健康学科 吉田教授から寄稿していただきました。
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