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2012/03/21
  • アウトキャンパス・スタディ事例

独居高齢者・在宅療養患者へ学生の献立による宅配食を提供

現在、65歳以上の独居世帯は約480万人(65歳以上人口の16.4%)を占めており、その中には食事を用意することが困難な状況があることから、治療食宅配サービスの利用が増えています。株式会社エム・シー・システムは岐阜県に所在し、独居高齢者および在宅療養患者への治療食の宅配、食事指導、病院・介護施設への委託給食を業としており、当研究室と協働で対象者の栄養ケアについて調査研究を行っています。また、管理栄養士の育成に対し並々ならぬご支援を賜り、昨年度は、学生と協働でおせち料理を考案する企画をご採用頂きました。

 今年度は、宅配給食会社の献立作成システムを、WEBを利用して遠隔地でも使用できるシステムを導入し、献立作成と治療食への展開(基本献立を糖尿病食や、腎不全食に調整すること)に取り組みました。学生の献立は、同じ画面上で治療食宅配会社の管理栄養士・調理師が閲覧できるので、メール等によりご指導を頂きながら修正を繰り返し、この度は初めて実際の献立に採用して頂きました。

 当日は、どのような方々が召し上がられるのかを見届けるため、宅配に同行しました。配達員の方は、一軒一軒必ず声掛けをして利用者の安否を確認し、会話を交わしながら体調を伺っていました。年に数度は救急車を呼ぶこともあり、自分達が生命に関わっているという責任感を持って業務に臨んでいるそうです。短時間のコミュニケーションであっても、外部との唯一の絆となっている場合もあり、独居高齢者の孤立を防いでいると感じました。当日のアンケートからは、宅配給食を心待ちにしている、利用者の切実な状況が伝わってきました。それらを踏まえて、今後の活動に発展させたいと思います。


本稿は健康栄養学科 藤岡由美子専任講師より寄稿いただきました。
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