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第2回松本大学大学院開設記念講演会を開催 「健康長寿と暮らしやすい町」

平成23年4月の大学院開設を記念した、第2回目の講演会が1月28日に開催された。講師は森岡正博先生で、佐久総合病院副院長を経て現在JA長野厚生連の代表理事理事長の職にある。



 講演は「健康長寿と暮らしやすい町」と題して行われ、講演内容は社会生活、医療の広範囲にわたり、普段は見聞きできない有益なお話をお聞きすることができた。講演はまずブータン国王陛下ご夫妻の来日に関連させたと思われる世界幸福度ランキングの話から始まった。それによると第1位はデンマーク、日本は90位にランクされていた。国民総幸福量(GDH)を提唱したブータンは8位であった。日本の県別では長野県は7位、首都東京は38位であった。経済的豊かさが必ずしも国民の幸福度を高めないことは将来を考える上で大きなヒントになろう。

続いて、①空前の高齢化、②身の回りで起こっていること、③長野県の医療の実態、④若月先生を中心とした佐久総合病院の活動、⑤医療従事者の状況、⑥地域の求める医療、などについてのお話があった。人口の高齢化と労働人口の減少(少子化)が今後の日本の大きな課題であるが、これに関連して自殺の主な理由が、経済的困窮、色恋沙汰と並んでプライド・自尊心であることを示され、「人間が生きる」という意味を考えさせられた。長野県は、低医療費と長寿で「長野県モデル」として注目されているが、佐久総合病院の従来の取り組みを中心に、県民の健康に対する意識改革や、医療供給体制の充実の重要性を強調されていた。ただ長野県の長寿の理由は、恐らく医療だけに注目するのでは不十分で、死生観、生きがい、働くことの楽しさ、家族の大切さなど、社会生活全体の仕組みの中で獲得できるものではないかとの思いを強くした。



 講演会には教職員や学生の他、地域の方々も多く出席され、参加者は総計約300人であった。参加者からは質疑応答も活発になされた。若い学生には、1時間半の講演を聞いて、今後の日本が抱える課題にについて深く考え、果敢に挑戦してほしいと強く願っている。




本稿は、大学院健康科学研究科 進藤政臣教授より寄稿いただきました。
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