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2011/02/23

「中世後期の在地社会と荘園制」発行 基礎教育センター福嶋紀子講師

本学基礎教育センターの福嶋紀子講師が、このたび「中世後期の在地社会と荘園制」を発刊した。荘園史研究の専門書だが、年貢を受け取る領主の視点ではなく、荘園現地の視点で「荘園制」の意義を検討している。



<福嶋紀子講師から書籍の紹介>



 日本史のなかでも多くの方が苦手とする「荘園」の問題に、敢えて正面から取り組みました。何故、中世の領主は荘園から年貢が取れるのでしょう。この不思議を解くきっかけが、松本大学の敷地の下に荘園の遺構として残っていることを知っていますか?

 大学周辺の田んぼは、平安時代に条里制といわれる計画的な開発が行われた場所で、たくさんの人手が投入されて切り開かれた耕地です。今目に見える周りの景色も、大学を挟むように鎮座している岩崎神社や小野神社も、また地元に残る「ものぐさ太郎」の伝承さえも、平安時代にこの地域に切り開かれた春近領という天皇家の所領の成り立ちを物語っています。これらは大学建設にともなう、考古学の発掘成果から判明したことです。

 調査対称とした荘園は信濃国のような東国のみでなく、兵庫県など西国の荘園もありますが、いずれも中世社会の景観復元を目的としました。「荘園」というと、はるか昔のことと思われがちですが、今の暮らしのなかにも多くの歴史的、文化的な遺物は残されています。



「中世後期の在地社会と荘園制」

著書:福嶋紀子

構成:/A5版・314ページ

発行:同成社 中世史選書

価格:7,350円(税込み)

※全国の書店で販売中
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