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2011/01/21

「お金とともに知恵を貸す」地域金融機関について実践的に学習 総合経営学科「地域金融事情」(太田勉教授担当)特別講義シリーズの総括

総合経営学科の2010年度後期講義「地域金融事情」では、地元金融機関等から幅広く講師をお招きし、10回にわたる実践的な特別講義を実施しました。この特別講義シリーズは、地域金融機関の役割や特徴を理解し、その利用法を身につけることを狙いとするもので、2005年度以降6年間続いています。講義内容を総括すれば、次の通りです。



 世界的な金融経済危機の影響を大きく受けた地域金融機関の経営は、2009年度以降、改善傾向をたどっています。しかし、人口減少に起因するデフレ(物価の持続的な下落)に製造業の海外生産移転なども加わって、地元の中小・零細企業の多くは依然として苦戦を強いられており、地域金融機関を取り巻く経営環境は厳しいのが現状です。地元金融機関の多くは、優良な貸出先企業の減少や期待をかける個人向け住宅ローンの伸び悩み・減少に直面し、中長期的な視点に立って経営方針の見直しに取り組んでいるようです。

 経営動向を具体的に見ると、「地域の金融ニーズに適格に応えていく」という経営理念に変わりはありませんが、「地域のお金(貯蓄)は地域に還元」するだけでなく、「顧客に役立つ情報・サービス提供の充実などによって地域企業の経営支援を強化」(お金とともに知恵を貸す)しようとする姿勢が強まっているように窺われました。

 個人向けサービス体制を整備・拡充に関しては、「改革を怠り人口減少に歯止めがかからなければ、日本経済は10年後には破綻に追い込まれかねない」といった現状を顧客に伝達し、家計の資産や生活を守るため「海外(新興国)の高成長の果実を手に入れる方策」をアドバイスするのが金融機関の役割といった説明に、多くの学生が刺激を受けている姿が印象的でした。



 特別講義の中では、金融業界で活躍する本学科の卒業生からも職場の現状報告とともに金融機関志望の学生へのエールを送っていただけたので、就職活動を開始した受講学生の関心も極めて高く、時宜にかなった有意義な企画になったと感じています。今後とも、学生がビジネスの世界に触れ、興味を抱くきっかけとなるような実践的な学習の機会を増やしていきたいと考えています。

2010年度後期「地域金融事情」特別講義一覧



□ 第1回 最近の銀行界の動き(10月22日)

  全国銀行協会 金融調査部長 神門 隆 様

□ 第2回 地方銀行の役割と八十二銀行の営業戦略(10月29日)

  八十二銀行 法人部 公務担当部長 中村雅春 様

□ 第3回 地域金融機関としての長野銀行の現況と役割(11月5日)

  長野銀行 常勤監査役 佐藤吉昭 様

□ 第4回 地域金融における大手銀行の役割と最近の動向(11月12日)

  みずほ銀行 松本支店 副支店長 都 元 様

□ 第5回 松本信用金庫の役割と最近の動向(11月19日)

  松本信用金庫 融資部 融資企画課長 洞 修二 様

□ 第6回 長野県信用組合の特徴と金融機関の見方(12月3日)

  長野県信用組合 常務理事 青木 修 様

□ 第7回 JAの地域金融機関としての役割(12月10日)

  長野県信連 JAバンク統括部 部長 北原健司 様

□ 第8回 日本政策金融公庫の役割について(12月17日)

  日本政策金融公庫 松本支店

  国民生活事業融資課長 小林紀夫 様

□ 第9回 銀行系証券の長期戦略(1月13日)

  八十二証券 常務取締役 神谷尋文 様

□ 第10回 郵便局の業務と役割:暮らしと向き合う志(1月21日)

  郵便局会社 信越支社 副部長 佐々木正史 様
 本文は、特別講座を企画した総合経営学科太田勉教授が執筆しました。
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