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2010/12/24

アメリカ ファーマーズマーケット視察レポート

健康栄養学科が現在取り組んでいる教育GPでは、食環境づくりや地域の活性化に貢献できる学生育成という目的で、ファーマーズマーケットに関する先進地視察という事業を盛り込んでいる。昨年度は、生ゴミ循環システムをつくり上げた山形県長井市を視察したが、本年度は海外視察ということで、アメリカの先進地を訪問した。



 9月1日~7日までの日程で、メンバーは健康栄養学科2名と観光ホスピタリティ学科1名の教員、事務局職員2名のほかに、学外から長野県農政部専門技術員と松本市今井の直売所職員の総勢7名であった。全員でコーネル大学のエクステンション機構が関わっているニューヨーク州イサカのファーマーズマーケットと関係機関を訪問し、その後、ニューオーリンズとロスアンゼルスの二班に分かれて現地視察や情報収集を行った。

 

 大規模農業というイメージが強いアメリカであるが、ファーマーズマーケットによる流通ルートが拡大しつつあり、健康や地域農業・漁業振興を考え、地域の農家から農産物を購入して利用することが中・高所得者層のひとつのライフスタイルとして定着しつつある。こうした販売ルートを活用する農業に魅力を感じ新たに就業した若い農業者にも出会うことができた。地域によって様々であろうが、契約農家から直接食材を購入するCSA(Community Supported Agriculture)というシステムや、低収入者などに対して新鮮な食材購入を推進するためのフードスタンププログラムの実態も見ることができ、考えさせられることが多かった。ファーマーズマーケットでは、生産者が自分のつくった農産物を消費者と会話を交わしながら販売しており、まさに顔の見える交流の場であった。マーケットが醸し出しているワクワク感も魅力的で、人々のライフスタイルとしてこうした購入行動が定着するために欠くことができない要素なのかもしれないと思った。また、オーガニックなどの品質について行政がチェック体制を整え、消費者の信頼感を得る仕組みができている点なども中・高所得者層に受け入れられている要因ではないだろうか。今回の視察で得た多くの収穫を、次のステップへとつなげていきたい。


 本文は健康栄養学科廣田直子教授が学報「蒼穹」第100号特別号に執筆したものを紹介しています。
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