新着ニュース

2010/02/11
  • イベント情報

健康栄養学科「教育GP」公開シンポジウム「土・農業・生命の循環から"食"を考える」が開催されました

"みんなで柿の種になるべぇ!"― 2月8日(月曜日)に本学で開催された健康栄養学科主催の公開シンポジウム「土・農業・生命の循環から"食"を考える」において、基調講演をしてくださった菅野芳秀氏が、シンポジウムの最後に参加者に伝えたメッセージです。
 このシンポジウムは、文部科学省大学教育・学生支援プログラム【テーマA】(いわゆる教育GP)「食の課題解決に向けた質の高い学士の育成」事業の一環として実施したものです。当日は健康栄養学科の学生に加え、学外から高校生20名を含めた60名余の皆さんが参加され、熱心に聴講してくださいました。
 菅野氏は、山形県長井市でレインボープラン―生ごみと農業の土づくり、作物消費を結びつけた循環―を住民自らの力でつくり上げてきた方です。農業が身近にある地域で学ぶ学生たちですから、生産者とともに考えていく姿勢を失わない管理栄養士になってほしいと願い、このシンポジウムを企画しました。
 午前中の菅野氏の基調講演「生ごみはよみがえる~土をめぐる生命の循環~」では、レインボープランの仕組みと、なぜこのようなシステムをつくろうと考えたのかについて説明してくださり、土は過去と膨大な未来の共有財産であること、「食べる」ということは生命の循環に加わることであること、さらに、学生たちには、自分の夢に惚れること、夢をかなえるための4つの条件は、「具体的に設計図を描くこと」「誠実であること」「自分の利益は後回しにすること」「にっこり笑顔」であることなどを力強くお話ししてくださいました。学生ひとり一人が受けとめたことは異なっているかもしれませんが、実際に活動してきた方のお話はとても説得力があったようです。
 午後は、本学観光ホスピタリティ学科の白戸洋教授をコディネーターに迎え、菅野氏のほかに、新村地区のくれき野生産組合の組合長として、組合員の力を引き出す活動を進めてきた岩間克博氏、同組合食育・有機米担当として小学生を巻き込んだ活動を展開している北原明夫氏、筑北村立聖南中学校栄養教諭として「おいしい給食からの食育」を実践している榛葉教子先生にも加わっていただき、パネルディスカッションを行いました。パネリストの皆さんは、それぞれの活動を通して体験したこと、苦労したこと、うれしかったこと、考えたことなどを「大人から学生へのメッセージ」として学生たちに伝えてくださいました。
 菅野氏の最後のメッセージは冒頭の言葉でした。初冬の葉が落ちて裸木に近くなってしまった柿の木に木守りとして残った柿の実のつぶやきを聞いてみたら、柿は自分の不遇を愚痴っているかもしれない、しかし、その柿の種に聞いたとしたら「もうすぐ自分の出番がやってくる。これから力一杯生きてやる」という心意気にあふれているに違いない..."みんなで柿の種になるべぇ!"と締めくくってくださったのです。
 3月のはじめに、健康栄養学科有志で山形県長井市へ出向き、レインボープラン関係施設の視察を行う予定もあります。来年の春には健康栄養学科の1期生が柿の種として地に根を広げ始めます。今後も、GPの取組を通して、地域の食をめぐる課題解決に貢献できる人材の育成に努めたいと思います。
 本文はこの会を企画した健康栄養学科 廣田直子教授から寄稿していただきました。
このページ先頭へ