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公開講義「信濃グランセローズの経営について」スポーツ健康学科「プロ・スポーツ論」(等々力教授担当)

去る20日(火)の3講時目に、プロ野球独立リーグ・信濃グランセローズの飯島泰臣副社長による、「信濃グランセローズの経営について -地域に根ざす-」と題する講義が行われました。同講義は、通常展開されている「プロ・スポーツ論」の1コマを利用したものであり、世界を視野に展開するトップスポーツ界の今日的あり方に対し、地域に根ざしたプロ・スポーツ界の実状について認識を深めることを狙いとしたものです。講義には60名余りの履修学生、一般聴講者、報道関係者が参加し、飯島副社長の情熱溢れる語り口と、球団設立2年間の具体的データに基づいた内容に、参加者の多くが思わず聴き入ってしまう内容でした。
 講義では、まず設立時に触れ、関係した長野県内や北陸信越地区の青年会議所OBの意思統一や企業の協力確約、主力メディアの協力確保、そして球団経営経験者の招聘など、設立に向けた具体的ハードルとその克服の過程が紹介されました。また、ホームグランド(中野市)の決定が、初期投資の軽減という側面と関係づけて語られました。その後、過去2年間の実績について、経営収支及び観客動員数などの具体的数字が紹介されたのですが、スポンサー確保が比較的順調に伸びてきたため赤字幅が縮小し、戦績がふるわないなかでも観客動員面では5球団中2位にあるとのことでした。球団としては、松本地域で行われるゲームへの観客動員数がなかなか伸びず、これをどのように伸ばすのかが大きな課題となっているとのことです。
 また、設立時に掲げていた「地域密着」という理念にくわえ、2年目の昨年は強いチーム作りを指向することを明確にし、今後も、「身近さと強さ」を追求することを目標に掲げていくとのことです。
 以上、講義内容を簡単に紹介しましたが、それはベンチャービジネスの立ち上げそのものであり、聴講した学生諸君に、ビジネスとしてのスポーツをより身近に感じさせたのではないかと思います。
 講義の終盤では、飯島副社長から松本地区でのゲーム開催に関連して、市民の認知度調査やゲーム・イベントの企画・実施などについて学生のアイディアを生かすことを一緒に考えたいとの提案がありました。本学としても、昨年3月に同球団と結んだ連携協定をどう具現化していくかという観点から、参加を希望する学生も含め、今後論議し実施に移していく予定です。
 近年、全国的に地域プロ・スポーツチームやリーグの設立が相次いでいますが、それは地域の活性化やローカル・アイデンティティの醸成に大きく貢献する可能性がありますし、そうしていくことが重要であり、その具体的方策が問われています。信濃グランセローズと本学の連携事業が、その幾分かに資することを期待し、目指したいと思います。

本文は、人間健康学部スポーツ健康学科学科長の等々力賢治教授から寄せていただきました。

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