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2008/09/03

「オーストラリア国立ニューカッスル大学短期研修旅行」を終えて

オーストラリアの空の色は信州の空の色に似ている。初めて南半球の空を眺めて、抱いた印象である。どこまでも澄み切った青い空。



 今年もオーストラリア国立ニューカッスル大学短期研修旅行の季節がやってきた。このプログラムは神奈川県厚木市の湘北短期大学主催で毎年8月の半ばから約2週間、ホームスティをしながら英語研修、課外活動などを行うものである。このプログラムに松本大学が参加させて頂いて、今年で5回目になる。今年は湘北短期大学から24名、松本大学から7名の学生、引率2名、総計33名がこの研修旅行に参加した。

 

 シドニー空港に着くと、いよいよ英語研修の始まりである。空港のアナウンスも英語、入国審査も英語、何もかもが英語の世界に学生達は緊張を隠せない。空港で迎えのバスに乗り込んで、ニューカッスル大学に着くと、学生らの緊張はピークに達する。これからそれぞれのホストファミリーと対面するのだ。小さな子供連れの家族、年配の家族、一人暮らしの家族、様々な家族がそれぞれに割り当てられていて、温かく迎えてくれる。学生は初めて対面する家族に、笑顔で精一杯応える。これから2日間の週末は、ホストファミリーと学生だけの時間なのだ。



 2日後、果たして学生達はどんな顔をして大学に現れるだろうか。ホストファミリーに送られ、次々に学生が到着する。笑顔の者、不安気な者、なかには引率の私の顔を見てほっとして泣き出す学生もいた。やはり慣れない英語に、ファミリーとのコミュニケーションは大変のようだった。



 英語研修もスタートした。シャノンとディックという陽気な先生方で、2つのクラスに分かれてのレッスンとなった。学生は最初はなかなか先生の指示が聞き取れなかったが、2週間後にはだいぶ慣れてきた。この午前の授業は午後の課外活動と直結することが多かった。例えば午後コアラを見に行く時は、コアラを見る前の印象を文にして発表する。実際コアラと会って、触った後はその印象が変ったかどうかについて話すなど。



 学生にこの研修旅行で一番印象に残ったことを聞くと、それぞれが色々なことを応えてくれる。まず、大学の広大さに驚いた者、食べ物の量の多さに辟易したもの、また、宗教が生活の1部となっていることに驚き、宗教に興味を抱いた者。また、オーストラリア人の自由に生きている様子、あまり人に左右されない生き方などをあげる者など。一度海外で暮らしてみると、それまでの日本人の視点でしか見られなかった、一元的なものの見方が変る。つまり二元的なものの見方ができるようになるのだ。もちろん2週間という短さからいい点しか見られないこともあろう。また、英語の不慣れさから、誤解もあることは否定できない。それでも、日本の外に出たことの意義を彼らの言葉から感じ取ることができる。



 最後はそれぞれのホストファミリーと涙の別れをして、2週間のオーストラリア英語研修を終えた。そのどの顔にも初めてファミリーと会った時のあの緊張した表情は跡形もなく、なつかしい家族との別れを惜しむ顔に変っていた。
 本文は、語学研修旅行に引率された松商短期大学部専任講師で、松本大学国際交流センター運営委員の中村純子先生から寄せていただきました。
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