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松本大学初のシニアカレッジ 全国から25名の参加者を招き開催

安曇野ひちろ美術館の松本館長

山菜採りを体験

中野前学長によるそば打ち

5月19日から6日間にわたり熟年者を対象としたシニア短期留学が松本大学で開催された。これは、関西でシニア向け情報誌を発行するフロンティアエイジと旅行業を手がける日旅九州エンタプライズと松本大学との共同で企画されたものである。過去の実績としては、金沢大学、琉球大学、鹿児島大学、別府大学などの大学で企画されたが、参加者は、12名から最高でも15名であった。しかし、本学の企画が掲載されると、数時間で定員の25名以上が申し込まれ即日満員となった。最高齢は91歳であった。



 講義内容であるが、テーマを「心に響く信州学」とし、教室で講義を聴くだけでなく地域の豊かな観光資源を生かして学び、これからの人生を心豊かに暮らしてもらうためのヒントを提供したいと考えた。

 佐藤博康観光ホスピタリティ学科長は「外国人は日本に何を見るのだろうか」と題し講義され、日本人が忘れてしまった素晴らしいものを思い出させる内容であった。NHKの番組「クールジャパン」を見ておられる方が多く、番組でのご意見番の経験を生かした話しに外国人の日本文化に対する理解を深めていた。

 松商短大の腰原哲朗前教授は、「信州で生まれた唱歌・童謡」と題され講義された。早春賦、故郷、朧月夜など信州で生まれた歌は多い。講義の合間に五曲くらいCDで唱歌を聞いてもらったのであるが、最初から一斉に合唱が始まってしまった。本当に懐かしかったのであろう。島崎藤村の初恋のCDはなく困ったのであるが、先生が独唱された。初めての経験であるとのことであるが、非常に上手く歌われた。しみじみと、先生の温もりが伝わってきた講義であった。

 八木雅子専任講師は、信州のワインとマナーについて講義された。マナーやワインの知識があれば、今後、飲む時にいかに楽しくなるか、飲めない私でも痛感させられた講義であった。参加受講生から、何度も頷きや、目から鱗とささやかれていた。

 中野和朗前学長からは、乗鞍で信州の食文化と蕎麦打ちの講義と山菜採りの実習指導があった。蕎麦打ち体験をしながら食文化と人生観について語られた。蕎麦打ち体験が出来るところは多くあるが、技術を教えるだけのところが多い。蕎麦打ち体験をしながら、食文化、人生観、趣味のある人生の楽しみなどを学べたのがこの講義の魅力であった。



 さらに、松本民芸館の望月正勝館長からは、松本と民芸について講義があった。「良い民芸品(民衆的工芸品)とは使用者がその仕上げをするものであり、使われて初めて光を放つものである。美術・工芸品、貴族的工芸品とは一線を画す」と話された。

 安曇野ちひろ美術館の松本猛館長からは、「いわさきちひろと安曇野」のテーマで講演していただいた。子供の絵を通して平和の素晴らしさを訴えていることや、「描く人には創造の自由があり、観る人には誤解の自由がある。絵画は想像力を豊かにする」と話された。

 修了式をフォレストホールで開催したのであるが、昼食を農家のおもてなし料理にしていただいた。山菜の天ぷら、山蕗の煮物、おやき、馬刺し、炊込みご飯などのメニューで、都会の人達には大好評であった。こんな田舎料理では恥ずかしいと言っていたスタッフは驚いたようであった。



 今回のシニア短期留学が無事感謝され終えたのは、多くの方の温かい協力があってのことであった。講義していただいた講師、総務課の職員、フォレストホールの生協のスタッフ、下見までして備えていただいたバスの運転手の方々に心から感謝します。協力していただいたすべての人たちの温かい心が一つになった時、多くの感動が生まれると再認識した一週間でもあった。
 本文は、観光ホスピタリティ学科の山根宏文教授から寄稿していただきました。
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