新着ニュース
2005/06/06
- イベント情報
生命保険会社の役割と今後の展望―― 「金融システム論」特別講義第3回
6月6日(月)には、日本生命保険相互会社松本支社の國井次長から、生命保険会社の役割と今後の展望などについて「マーケティングとインベストメントで世界を牽引 ~ニッセイの真実~ 」というテーマで講義をしていただいた。受講生からは、「生命保険会社の業務の多様化に驚いた」との感想が聞かれた。講義の要旨は、次のとおりである。
生命保険は「自分に万が一のことがあったら・・・」が出発点であり、その恩恵(とくに死亡保険の場合)を実感する機会は少ないかもしれない。別の言い方をすれば、生命保険は死亡・病気・ケガに対するリスクマネジメント商品である。
生命保険の二大機能は「保障機能」と「資産運用機能」である。第1の保障機能は、保険料を支払われたお客様が死亡や病気、ケガに見舞われた際に保険金を支払うもので、「相互扶助」の精神に基づき、「安心」というサービスを提供することである。第2の資産運用機能は、生命保険契約は給付までに長期間に渡るため、予定利率を設定して運用(予め運用収益を見込んでその分保険料を低く設定)することである。
このように、生命保険業の両輪は「保険販売部門」と「資産運用部門」である。以下では、日本生命の現状に即して説明しよう(以下の数値は、平成15年度決算ベース)。予め当社の規模・ネットワークをみておくと、総資産は45兆円で、お客様は個人1,130万人、法人30万企業となっている。
第1の柱である販売部門のうち、リーテイル部門では、個人及び中小企業の経営者等を対象に、死亡保険、医療・介護保険、年金、損害保険、投資信託といった多様な商品を、営業職員、代理店のほか、来店型店舗、銀行窓販などの多様なチャネルを通して販売する。お客様自身が気付かない「見えないニーズ」を引き出し、お客様と一緒に最適な保険プランを考えていくこと(ファイナンシャル・プランニング)が必要である。
一方、ホールセール部門では、企業に対し、従業員の福利厚生制度の設計の一環として団体定期保険や団体年金などを、企業の総合取引窓口を通して販売する。保険を販売するだけではなく、融資、投資信託、株式、不動産など幅広い金融商品をカバーする「総合リスクコンサルタント」といえる。
次に、第2の柱である資産運用部門についてみると、取引市場、企業、個人に対し、預かった保険料を、株、債券、融資、不動産などに運用する。運用手法・スタンスは、長期・安定投資及び分散投資が原則である。個別資産運用状況をみると、総資産45兆円のうち、有価証券残高は約30兆円、貸付残高は約11兆円、保有不動産残高は2兆円弱となっている。このため、様々な資産にまたがる総合的な運用ノウハウを有していることが重要である。
最後に、生命保険業界の今後について考えてみよう。保険は、生命保険(第1分野)、損害保険(第2分野)、そして両者にまたがる第3分野(病気、ケガ、介護)に分けられるが、近年業務分野の規制緩和が進展しており、保険業界は「総合保険サービス提供」の時代に入った。また高齢化社会の進展に伴い、公的年金制度や健康保険制度の見直しが進み国民に自助努力が求められる中で、生命保険業界は従来の「国の社会保障制度の補完」としての役割から、社会保障の中枢を担う「社会福祉事業」へと変貌することが期待されている。
生命保険は「自分に万が一のことがあったら・・・」が出発点であり、その恩恵(とくに死亡保険の場合)を実感する機会は少ないかもしれない。別の言い方をすれば、生命保険は死亡・病気・ケガに対するリスクマネジメント商品である。
生命保険の二大機能は「保障機能」と「資産運用機能」である。第1の保障機能は、保険料を支払われたお客様が死亡や病気、ケガに見舞われた際に保険金を支払うもので、「相互扶助」の精神に基づき、「安心」というサービスを提供することである。第2の資産運用機能は、生命保険契約は給付までに長期間に渡るため、予定利率を設定して運用(予め運用収益を見込んでその分保険料を低く設定)することである。
このように、生命保険業の両輪は「保険販売部門」と「資産運用部門」である。以下では、日本生命の現状に即して説明しよう(以下の数値は、平成15年度決算ベース)。予め当社の規模・ネットワークをみておくと、総資産は45兆円で、お客様は個人1,130万人、法人30万企業となっている。
第1の柱である販売部門のうち、リーテイル部門では、個人及び中小企業の経営者等を対象に、死亡保険、医療・介護保険、年金、損害保険、投資信託といった多様な商品を、営業職員、代理店のほか、来店型店舗、銀行窓販などの多様なチャネルを通して販売する。お客様自身が気付かない「見えないニーズ」を引き出し、お客様と一緒に最適な保険プランを考えていくこと(ファイナンシャル・プランニング)が必要である。
一方、ホールセール部門では、企業に対し、従業員の福利厚生制度の設計の一環として団体定期保険や団体年金などを、企業の総合取引窓口を通して販売する。保険を販売するだけではなく、融資、投資信託、株式、不動産など幅広い金融商品をカバーする「総合リスクコンサルタント」といえる。
次に、第2の柱である資産運用部門についてみると、取引市場、企業、個人に対し、預かった保険料を、株、債券、融資、不動産などに運用する。運用手法・スタンスは、長期・安定投資及び分散投資が原則である。個別資産運用状況をみると、総資産45兆円のうち、有価証券残高は約30兆円、貸付残高は約11兆円、保有不動産残高は2兆円弱となっている。このため、様々な資産にまたがる総合的な運用ノウハウを有していることが重要である。
最後に、生命保険業界の今後について考えてみよう。保険は、生命保険(第1分野)、損害保険(第2分野)、そして両者にまたがる第3分野(病気、ケガ、介護)に分けられるが、近年業務分野の規制緩和が進展しており、保険業界は「総合保険サービス提供」の時代に入った。また高齢化社会の進展に伴い、公的年金制度や健康保険制度の見直しが進み国民に自助努力が求められる中で、生命保険業界は従来の「国の社会保障制度の補完」としての役割から、社会保障の中枢を担う「社会福祉事業」へと変貌することが期待されている。