非常勤講師 江成 康明
「地域環境と民度」の授業では、人として生きるためのルールやモラルについて勉強してきました。
日常茶飯事に起きている犯罪を例にあらゆる角度から「民度」を取り上げましたが、現在、将来を見据えたうえで最も危惧されるのはネット犯罪の多様化であると判断し、ネット利用者としての心構えを受講生で話し合いました。
そのうえで、昨年に続く「ネット社会と民度10か条」2015をまとめてみました。
話し合いの中で、ネットより直接対話を心がけよう、という意見が多かったのですが、まさに10か条はみんなの話し合いによって作られました。ネット討論では、これほど素晴らしいものはできなかったと確信しています。
犯罪は自分で気を付けることによって、ある程度の被害は避けられ、相手を傷つけることもなくなります。
受講生だけでなく、学生全員が同じような気持ちでネットに臨めば、利用価値のあるネットはますます便利で有効性のある機器になるものと信じています。
「ネット社会と民度10か条」2015
1.手"ばなして"みよう携帯電話 "はなして"みよう人々と
私たち世代は、一日の大半を携帯電話に費やすことがあります。情報はすぐ得られるし、発信もすぐできるし...。でも、画面には表情がありません。心もありません。たまには携帯電話を手放し、家族や友人と直接会って話をすると、新たな発見があるかもしれません。そんな時間を持ちたいものです。
2.電池も減れば、会話も減る そんな人生損ばかり
ネットはタダ、と思いがちですが、実際はお金がかかっています。目の前にいる人たちとの会話には、お金はかかりません。当たり前のことなのに、やはりネット機器と向き合ってしまいます。相手の表情を見ながら、一緒に喜んだり悲しんだりできないって、損していると思いませんか。
3.ネットは広い地平線 その先に待つ見えない怖さ
原野に立って地平線を見ていると、その広さに驚き、悠久な世界に飛び込んだような思いにさせられます。世界につながるネットもまるで地平線のようです。しかし、見えないところでは多くのネット犯罪が起きています。ネットの先にある見えない怖さをいつも気にしておく必要があります。
4.ネットは仮面舞踏会 そろそろ仮面を外そうかい
本当の自分を見せずに話ができるネットは、仮面舞踏会のようです。もちろん相手も仮面をつけています。仮面の中では、互いに舌を出していても、気付かれ ることはありません。それより仮面をはずして、表情を見ながら会話をした方がよくはありませんか。
5.人の噂は七十五日、ネットの噂は無限に続く
もし自分がミスしたり、間違ったことをした場合、その噂は時間がたてば忘れ去られます。でも、いったんネットに載ってしまうと、永久に消えることはありません。逆に悪口を書かれた時も、それが真実かどうかを確認されることもなく、「悪い人」になってしまいます。それが無限に続くのです。
6.スマホにも休暇を 使い過ぎは〝炎上″の危機
過ぎたるは及ばざるがごとし、という格言があります。スマホも使いすぎると熱を帯びることがあるそうです。メールの内容にしても、いい加減なことを書くと"炎上"する危険性もあります。時にはスマホを休ませなければいけませんね。それはスマホの主人であるあなたの仕事です。
7.やめろ出会い系 男なら路上で引っ張りハンティング
出会い系サイト、怖いですね。ネット情報だけで出会うのですから、当然といえば当然です。掲載されている写真は本人でないかもしれませんし。それよりも、街中で素敵な女性を見つけたら声をかけてみる、という勇気を持ったらどうでしょう。それがきっかけで恋愛に発展するかもしれません。
8.ネットに悪口 いとうたてし 本当に嘆かわしい
ネットには簡単に人の悪口を書けます。しかも多くは匿名で。情けないし、嘆かわしいと思いませんか。「いと」も「うたてし」も古語で大変嘆かわしいと いう意味になります。昔の人が今のネットでの悪口をみたら、本当にそう言うかもしれません。
9.Not SNS Yes FTF(Face to Face)
SNSは楽しいし、相手の返事をすぐもらえる便利さがあります。でも、たまに気持ちが窮屈になることはありませんか。表情がないということは、相手がどのような意図で書いたのかわかりません。それより、面と向き合って話すことが大事です。「間」も会話の一つなのですから。
10.自分流に表現しよう。あなたにしか創れない価値を大切に
ネットにはいろいろな情報が満載です。コピペを含め、つい焼き写してしまいがちです。人にはそれぞれ自分だけが表現できるものがあるはずなのに、他人の意見に惑わされてしまうのですね。あなたにしか創れない価値があるのにもったいないですよ。自信を持って創作発信してみましょう。