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  4. 地方創生に向けた地域金融機関の役割について学ぶ

[ 2015.01.06 ]

教育

第2回講義風景(八十二銀行)

第4回講義風景(長野銀行)

第6回講義風景(長野県信用組合)

第10回講義風景(日本郵便株式会社)

総合経営学部総合経営学科 教授 太田 勉


総合経営学科の2014年度後期講義「地域金融事情」で、多様な地元金融機関等から特別講師をお招きし、11回にわたる実践的な特別講義を実施しました。

今回の連続特別講義に先立って、地域金融機関の経営を考えるうえで注目すべき2つのレポートが発表されました。
まず民間の日本創生会議が2014年5月に、人口減少で2040年までに「全国の約半分の市区町村が消滅する可能性がある」との衝撃的なレポートを公表しました。
また金融監督を担う金融庁は7月に、人口減少社会では貸出の増加を目標とする地域銀行のビジネスモデルは、「全体としては中長期的には成り立たない可能性がある」と指摘しました。
こうした中で、地域経済との共存共栄を目指す地元金融機関が、人口減少時代に地方を建て直す「地方創生」に向けて、どのような役割を果たしていくのかが、今回の連続講義のメインテーマとなりました。

まず長野県に拠点をおく地域金融機関の動向をみると、アベノミクスの下で進行した円安・株高という市場環境好転に伴って収益が改善し、貸出も2012年度を底に回復の兆しがみられます。
しかし企業等の借入需要は弱いため、地元金融機関は、首都圏等県外貸出の拡大や、証券市場での運用増加などにより、県外への資金流出を増加させています。
地元で集めた資金を地元に還元する役割(お金の地産池消)は、後退し続けています。

そこで、多くの地元金融機関は、人口減少を背景とした地域経済縮小への危機感から、既存企業の支援を越えて、成長分野への進出(環境・再生エネルギー、医療・福祉、農業)、スポーツ振興(松本山雅FC支援など)、地域観光振興、など、新規分野開拓を含む「地域経済活性化」に注力する動きを加速させています。

他の地域をみると、このところ首都圏や九州などでは、地域銀行の県境を越えた経営統合が相次ぎ、再編の動きが活発化しています。
こうした将来を見据えて、広域ネットワークを活用して幅広い金融機能を発揮しようとする動きを眺めて、今後地元金融機関がどのように対応していくのか、注目されます。

円安・株高というムードに煽られて金融に関心を持つ学生が増加する中で、今回の連続講義を聞いた受講生の多くが、「地域創生」のリード役としての地域金融機関の役割に関心を抱いたように見受けられました。
今後とも学生がビジネスの世界に触れ、興味を抱く契機となるような企画を考えていきたいと思います。

2014年度「地域金融事情」特別講義一覧

                
講義テーマ 実施日 講師
第1回 最近の銀行界の動向 10月7日 全国銀行協会
金融調査部長 内田浩示 様
第2回 地方銀行の役割と八十二銀行の営業戦略 10月14日 八十二銀行 法人部
公務担当部長 平林岳久 様
第3回 銀行系証券会社の長期戦略 10月21日 八十二証券
常務取締役 神谷尋文 様
第4回 地域金融機関としての長野銀行の現況と役割 10月28日 長野銀行
常勤監査役 中島一志 様
第5回 地域金融における大手銀行の役割と最近の動向 11月4日 みずほ銀行 松本支店
副支店長 石井秀樹 様
第6回 長野県信用組合の役割と戦略 11月11日 長野県信用組合
常勤理事 越川 豪 様
第7回 長野県労働金庫の役割と最近の動向 11月18日 長野県労働金庫 松本支店
次長代理 野村善朗 様
第8回 松本信用金庫の役割と最近の動向 11月25日 松本信用金庫 業務部
業務推進課主任 山田智之 様
第9回 JAの地域金融機関としての役割 12月2日 長野県信連 JAバンク統括部
部長 矢口晋司 様
第10回 郵便局の役割と業務 12月9日 日本郵便株式会社 信越支社
地方副本部長 岡本和子 様
第11回 政府系金融機関とは
~日本政策金融公庫の役割~
12月16日 日本政策金融公庫 松本支店
国民生活事業
事業統括 斎藤祐一 様

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