人間健康学部 健康栄養学科 教授 髙木 勝広
今回の実験は、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction; PCR)法を利用した品種推定実験を行います。
ちょっと難しいように感じるかも知れませんが、このPCR法というは、親子鑑定や犯罪捜査における犯人の特定(DNA鑑定)、食品衛生分野では汚染微生物による食品汚染検査、遺伝子組み換え食品の検査等々、幅広く用いられている方法です。
今回はこのPCR法を使って、市販の食肉の種の推定実験を行います。
ミートホープの「牛肉偽装事件」を覚えていますか?
食の安全、安心に対する信頼を失墜させ、全国で食品偽装が露呈するきっかけとなった事件ですが、この事件は、豚肉を牛肉に見せかけた「偽装ミンチ」が製品化され、生協などを通じて全国に流通していたとするもの。このことにより、消費者である私たちは食材のことを知っているつもりでも巧みに調理されてしまうと、それがどういった肉で作られているのか、なかなか分からないことも明らかにされました。
しかし、実験ではごまかしは効きません。
食品は様々な成分から構成されているため、その材料特定は容易ではありませんが、いずれも生物由来なので、そのDNA情報から材料判別を行うことができます。
実験試料は、牛豚挽肉と鶏挽肉の2種類を用意しました。
学生にはどういった肉かは明かさず、その肉がどういった動物の肉から構成されているのかを、実験で調べてもらいました。
はじめに肉を量り取ります。試薬を入れ、良く混和後、肉からDNAを抽出します。その後、2時間ほどPCRを行います。PCRによる反応産物をアガロースゲル電気泳動により、解析・判定を行います。
よく耳にする「DNA鑑定」が食品偽装を暴く有効な手段であることを学ぶことができたと思います。
今回の実験をもちまして、食品衛生学実験は終了となります。
学生たちには、実験の面白さ、楽しさ、素晴らしさを実感して欲しいという想いで実験を担当してきましたが、どのように感じてくれたのか・・・、試験が終わったらまた聞いてみたいと思います。