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  4. 「食品衛生学実験」vol.15 細菌の性質を学ぶ② ~運動性試験~

[ 2014.06.13 ]

研究

人間健康学部 健康栄養学科 教授 髙木 勝広


ある細菌には、べん毛という運動器官が存在します。
べん毛は、細菌表面から出ているらせん状の繊維です。表面に1本あるいは数十本持つものもあり、それを動かして遊泳します。
べん毛を見ることは容易ではありませんが、べん毛をもつ細菌は、軟らかい寒天の培地(軟寒天培地)中でなら移動することができるので、簡単に鑑別することができます。
今回は、細菌の性質を学ぶ②と題して、細菌のべん毛と運動性について学ぶことにします。
試料は、べん毛をもつ大腸菌と、もたない黄色ブドウ球菌です。
まず寒天培地をつくります。
通常の寒天培地なら寒天濃度は1.5%程度ですが、今回は寒天を10分の1(0.15%)にまで減らします。したがって仕上がった培地を揺らすと表面がプルプル動き、大変に軟らかいのがよくわかります。
大腸菌と黄色ブドウ球菌を、それぞれを軟寒天培地の中心に突き刺すように植え付け、2日間、培養します。べん毛もつ大腸菌がどのように培地の中を泳ぐのか楽しみです!

2日後・・・
結果を述べます。写真をご覧ください。
左側が大腸菌で、右が黄色ブドウ球菌です。
違いは一目瞭然、大腸菌は培地全体が濁っているのに対して、黄色ブドウ球菌は、真ん中部分だけが白く濁っています。
べん毛をもつ大腸菌が、泳ぐってこういうことか!いずれも目には見えない細菌たちですが、それぞれ個性があることを、実験を通して知ることができました。
食品衛生学を学ぶと、細菌は私たちの敵のようにも感じますが、その敵も意外とお茶目で、うまく付き合えば(コントロールできれば)、そんなに恐ろしいものでもないのかもしれませんね。

食品衛生学実験において、細菌を扱う実験はこれで終わりです。
次回からは、化学実験に入ります。
またお楽しみに!

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